最初はケージの交換だけを書こうと思っていたけど、色々調べる中でケージ交換だけでは事足り無いことがわかったのでここではGXのディレイラーの調子が悪くなる場所全般について書き留めておくことにする。
さて、MTBではフロントシングル+リアワイドコグが一般化しているが、その中でもSramのEagleシリーズは12速の10-52tカセットに対応している。
そうなると10速とかの時代に比べてディレイラーのケージはとんでもなく長くなり、また少ないスペースにたくさんのギヤ板がいることから調整もシビアになりがちである。
とは言っても新品ディレイラーの調整は非常に楽ちんであっけなく設定ができる。
しかしGX以下のグレードは本当に脆くてぶつけたりするとすぐに調整が乱れ、変速性能が著しく低下する。
そしてシマノと違ってSramはスモールパーツの単体売りが少なく、ワイヤーの張りやボルトによる調整でどうにもならなくなるともうディレイラー自体を交換するしかなくなってしまうのである。
ちなみにGXのディレイラーで売ってる部品は以下のとおりである。
少し前まではGXのディレイラーは海外から9000円程度で調達できたのでまだ良かったが最近は少なくとも倍以上ととんでもなく値段が上がってしまった上に調達先もなかなかなくて気軽にディレイラーを交換しましょうなんて話は出来なくなってしまった。
そうなるともうお手上げって感じなのだが、ここではなんとか調子の悪くなったディレイラーを直してみましょうと頑張るのである。
幸いにも手元には壊れたGXが5つもあるのでバラしたい放題だ。
- 壊れやすい場所
まず壊れやすい場所の確認からしてみよう。
壊れやすい場所に丸をつけてみた。
①ケージ
Eagleのケージは非常に長い。故にぶつけやすい。27.5インチのホイールだとほぼ地面みたいな距離感だ。
ここに岩をぶつけると曲がるし巻き上げた枝とか絡まるとバキバキに折れて即死する可能性もある。
そしてケージのスモールパーツはSramで用意されてない。
②パンタグラフの軸
ディレイラーで一番外側に出っ張ってる部分だが、ここの軸がアルミのちゃっちいものなのでぶつけると曲がる。
変速の調子が悪くなる一番の原因はここにある気がする。
当然ながら軸のみの販売はSramでは行われていない。
ここ見るとバネの力で勝手に曲がるとかも書いてある。保管時はトップに入れてディレイラーのテンションを下げておく必要がありそうってマジかよって感じ。ちょっとチャチすぎないかこれ。
③取り付けボルト
これは調べてて知ったのだけどGX以下のグレードとX01以上のグレードだと部品が異なっている。GX以下のグレードは新品の時からガタがあり、使っているとどんどんガタが大きくなってくる。そうするとぶつけてないのに変速の調子が悪くなってくる。
この部品はスモールパーツがあるのでどのディレイラーでも直すことができるしなんならX01やXX1のものにアップグレードも可能である。
- ケージの修理
前者の写真はZraceのカーボンアウタープレートで3000円ぐらい
後者の写真はGarbarukのアルミケージのセットでプーリーなしなら同じく3000円ぐらい。プーリーは普通のやつも使えるみたい。
インナープレートもぶっ壊してしまったら後者を選択すると良いだろう。
ちなみに前者は520%の新GX対応品なので注意。
後者はGXに限らずSramの11s12sディレイラーで使えるらしい。(公式にそう書いてあった)
なおインナープレート単体はebayでもカーボンのものが売っているがこれは旧Eagle仕様なので520%のEagleには合わないので注意が必要である(買って確認済み…)
まず手で頑張って直す方法だが、GMBNが素晴らしいチュートリアルをYoutubeに公開してくれている。
参考
まぁ簡単にいうと力技である。
ハンガーが曲がらないようにディレイラー本体をしっかり押さえつつケージを気合いでグイグイ曲げていく。
コツもクソもないけど案外効果的なので試してみる価値はある。
チェーンを外せるならディレイラーをバイクから取り外してグイグイやってみるのも良い
トレイルで激しく曲がってしまった際にはこれでとりあえず何段かは使えるギアが復活してくれる(はず)
続いてケージの交換方法について記載する。
手順を守ればケージの交換は驚くほど簡単である。
上記したZraceが親切にもYoutubeで手順を公開してくれているので参考にさせてもらおう
まず最初にケージロックする
次にリミッターになっているピンを外す
3mmのアーレンキーで簡単に外れる
そしたらケージロックを解除してゆっくりとケージを回転させる
そしたらケージロックを解除してゆっくりとケージを回転させる
この時ちゃんとケージを持っておかないとバネの力でグリンと一気に回って最悪怪我するかもしれないので注意
360度回るとバネのテンションがなくなるのでケージから手を離して、ケージを止めているネジを外す
360度回るとバネのテンションがなくなるのでケージから手を離して、ケージを止めているネジを外す
ここも3mmのアーレンキー
あとは新しいケージを逆の手順で付ければ終わり
あとは新しいケージを逆の手順で付ければ終わり
Zraceのケージはほぼ純正みたいな見た目をしていてナイスだ。
しかしケージを交換してもこんな感じにケージが斜めっていることがある。
これは残念ながらパンタグラフのピンが曲がってしまっている可能性が高い。
そうなるとディレイラーをバラバラにする必要が出てくる。
- パンタグラフの軸の修理
まず最初にディレイラーを眺めてみよう。
いきなりバラバラの写真で申し訳ないが、丸をつけたピンのうちツライチになってなくて浮いてるのがあったりしないだろうか。
もしあったとしたら残念ながらピンがひん曲がっている。
こうなるとピンを引っこ抜いて曲がりを直すかどっかからピンを調達してくるしかない。
とりあえずピンが曲がっているか確認するためにバラしてみよう。バラすのは意外と簡単だ。
下の写真の丸ついてるところを外せばピンが外せる。
真ん中のワイヤーを止めるネジは4mmのアーレンキーで外せる。
それ以外はスナップリングになっているのでマイナスドライバーとかでこじれば外せる。
ミスるとこんな感じに破壊してしまうがスナップリングとしては機能するので捨てずに取っておきましょう。
スナップリングが無事に外せたらピンを抜く。
10mmのアーレンキーとかでピンをコンコン叩いてあげると抜けやすい。
ある程度抜けたらマイナスドライバーでこじって浮かせてあとはラジオペンチで引っこ抜く
はい、バラバラになりました。
で、抜いたピンがこれ。
激しくひん曲がっているピンはブッシュごと抜けるので真っ直ぐなピンより抜くのが大変だ。
曲がっているピンはどうにかして気持ち真っ直ぐに戻す。
曲がっているピンはどうにかして気持ち真っ直ぐに戻す。
曲がっているくせに割と硬いのでうまいこと叩いたりしてなんとか戻しましょう。
なお、ピンのサイズはだいたいこんなもんなのでミスミでもっと硬いSUSとかでのピン作ってもいいかもしれない。その場合はヒンジピンで検索してみましょう。
モノタロウでも4mmのヒンジピンを探したところ鉄のものが見つかった。錆びそうで俺はあんまり使いたくないけどモノタロウだと一本100円未満だったので使ってるみる価値はあるかもしれない。少なくとも純正のアルミのピンよりかは丈夫でしょ。
ピンを真っ直ぐにしたらパンタグラフを戻していきます。
バネのところが少しめんどくさいので注意。
まずはバネつけるところのピンを半分入れる。
続いてバネを入れてピンを挿入する
次にバネのもう片方をつける側のピンをつける
こっちも同じくピンは半分だけ入れる
で、こんな感じでバネを入れる
そしたらすかさずピンを押し込んで合体
あとは残りのピン2本も取り付けて完成
なおピンがなかなか入らないので外す時に使った10mmのアーレンキーでピンの頭をコンコンと叩き入れると入れやすかった。
あとは外したブッシングやらスナップリングを戻したら終わりです。
バイクに取り付けて動きを確認してみましょう。
…とする前にどうせ直すならってことでピンを変えてみた。上で書いたとおりミスミでヒンジピンを発注。
買ったのはツバ付き輪止めタイプ
んで型番はSHCDG4-30というsus304の長さ固定タイプで一本270円。
これだと大体純正ピンよりも2mmほど長くなるので合わせて2mmのスペーサーも購入した。
しかしミスミって前はいくらでも送料無料じゃなかったっけ?4〜5年ぶりに発注したら3000円未満は送料かかるってので4本でいいのに8本買ってしまった。
重さを比較してみたが特に変わらず。コンマ違うのかもしれないけど測れないからわからんが持った感じはたいして変わらない。
てか純正のピンもひょっとして鉄なのか?
何はともあれとりあえずバラしてあるやつに取り付けてみる。
一本だけつけた時は結構ガタがあったけど4本ちゃんとつけたらガタなくなった。
スナップリングがEリングに変わってケージロックのボタンのところでかなり苦戦したがコツを掴んでクリア。
Eリングは指押さえるのではなくラジオペンチで掴んで押し込むんだね。
一点懸念事項としてはピンの全長が長くなったからワイヤー押さえる部品にピンの先っぽが干渉するか否かみたいな感じになった。これは当たる方を削っておいたほうがいいかもしれない。
という訳で使う方のディレイラーにピンを取り付けてみる。こっちは520%の新Eagleのほうになる。
旧Eagleのほうは当たるかな?ぐらいだったのに新Eagleのほうはピンがガッツリ干渉することが判明
ポスカ塗って当たる位置を確認したが結構な範囲にピンが干渉してることがわかる。
という訳で削る。
一点懸念事項としてはピンの全長が長くなったからワイヤー押さえる部品にピンの先っぽが干渉するか否かみたいな感じになった。これは当たる方を削っておいたほうがいいかもしれない。
という訳で使う方のディレイラーにピンを取り付けてみる。こっちは520%の新Eagleのほうになる。
旧Eagleのほうは当たるかな?ぐらいだったのに新Eagleのほうはピンがガッツリ干渉することが判明
ポスカ塗って当たる位置を確認したが結構な範囲にピンが干渉してることがわかる。
という訳で削る。
プラなのでヤスリでゴリゴリ削るが削りすぎても困るので現物確認しながら進めていく。地味に時間かかる…。
そして当たらない具合になったのでようやく完成…!!
早速バイクに付けて変速を確認する
新品ほどスムーズではないけどちゃんと12速全部変速できるようになった
トップ側4〜5枚目付近が少し怪しいけど使えないレベルじゃない
全然ダメだったらもうシマノにしようと思ってたが割と機能するのでこのまましばらく使ってみよう。バネに負けて曲がってこないか、ぶつけてまたあっけなく曲がらないか、もしくはピンが丈夫になりすぎて他の部分が壊れないかが心配だ。
- 取り付けボルトの修理
まず、参考サイトの紹介から。
上のサイトで紹介されているのはディレイラーの取り付けボルトに関してなのだが、どうやらGX以下のグレードはコストカットを煽りをもろに受けておりX01以上のディレイラーとは構造が異なるようだ。
どういったことが起こるのかだけど、簡単に書くとGX以下のグレードは取り付けボルトに生まれ持ったガタが存在しており、使っていくうちにどんどん削れてグラグラになって変速に大きな影響を与えてしまう、というものだ。
色んなところの情報を調べると大体500kmぐらい走るとガタが大きくなってくるみたい。
GXしか使ったことなかったから気が付かなかった。
これは以下のYouTubeの動画にもあるようにウェーブワッシャー(外径15mm内径12mm)を交換することで復活することができる。
しかしこのウェーブワッシャーの調達性がすこぶる悪い。どこで売ってんだよ…ってレベル。
またミスミで買うと高いし悩ましいサイズ感。
もう一つ方法としてはX01以上の取り付けボルトに交換してしまうという方法があるよう。
X01以上のグレードだと取り付けボルトにブッシングが付いてたりBボルトの取り付け部分にベアリング?機構があったりでガタが出にくい構造になっている。
ウェーブワッシャー交換したのと同じ人がX01のボルトに変えているが全然違う。
eBayで台湾から輸入できるようだけどしかしこの取り付けボルトが3000円ぐらいと結構な値段する。
ボロボロの使い古されたディレイラーにこんなにお金払ってアップグレードするのはどうなんだろと思って気になっているが見送ることにした。
気になる人はeBayでsram b-boltで調べるといいと思う。
とりあえずこれを知って何故今更Sramがダイレクトマウントに取り組み始めたのかがわかったしダイレクトマウントのメリットも理解できた気がする。
UDHはダイレクトマウントの布石だったんだな。UDH採用のフレーム選んでおけばよかった。
- まとめ
最後に総括する。今回ムキになって直してみたがケージで3000円、ピンとワッシャーで1600円(使った分だけ)と割とお金がかかった。
今までケージが曲がって変速が悪くなると思っていたがパンタグラフのピンが曲がっても変速が悪くなるということを知れたのは収穫だったと思う。
というかほとんどここが原因なんじゃねーのかな?今まで散々曲がったと思ってたケージを全部取り外して確認したけど目視だとそんなにまがってるように見えなかったし。
スラムのディレイラーはケージロックがお気に入りでGX Eagleが出てからずっと使っているが、今回バラしたり調べたりするうちにやっぱシマノのほうがいいんじゃねという気がしてきた。
特にパンタグラフのところとか取り付けボルトのところとかシマノは丈夫そうなんだよね。
スラムは無駄にでっぱりすぎなんだよ。
なんで壊れやすい部分が一番外側に飛び出しているのか…
一方でシマノ(特にXT)はこのパンタグラフのピボット部分が引っ込んでいて見た感じぶつけにくそうなんだよね。11速までしか使ったことないけどぶつけて壊したことなかったし。
たぶん次壊したらディレイラーだけXTに変えるだろうな。
というスラムにネガティブな印象を抱く作業だった。
終わり
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